9. ダリヤの帰国
一年間のダリヤの留学期間(性格には10カ月くらいだったと思う)の終了が近付くにつれ、「帰国日」が近くなり私は毎日悲しみに暮れていた。帰国後二人の関係はどうなってしまうのか。精神的にもダリヤに依存していた私は就職活動も全くせず、何もできないような日々を過ごしていたが、ついにその日が来た。
ダリヤの帰国のため、ダリヤを車で6時間程かかる空港まで車で送っていくことになっていた。当日の朝、なぜかダリヤは不機嫌で私が「もうすぐ家に迎えに行く」と電話で話しても、準備がもう嫌だという様子だったが、到着してみるといつも通りのダリヤだった。
ダリヤを車に乗せ長いドライブが始まった。途中、海沿いを通る時は二人で砂浜に降りて足だけ海水浴したりもした。その後ダリヤは近くのコンビニへ行き、リンゴを買い、コンビニのトイレの手洗い場でそのリンゴを洗ってから食べていた。(日本人の感覚からすると少し?な行動だと思った)
目的地まではほぼずっと海沿いなので夕焼けが非常に綺麗だった。それまでダリヤは車のダッシュボードに入った色んなCDをあさり、色んな曲をかけていたがその時に自分の大好きな曲をかけた。音楽がかかっている時に夕陽、車内、そして車内の二人を私の最初にダリヤと出会った時に使ったデジカメで自撮りしていた。
やがて目的地に到着したが、フライトは翌日なのでその日はその街で一泊した。この時点で私は翌日の別れを完全に実感し、事あるごとに泣くようになった。ダリヤの方も寂しそうだった。涙を流していた。一方で、どこか「ようやく故郷に帰れる」という嬉しさや安心感がある雰囲気もあったと思う。その日は夜遅くまでダリヤと話していたのもあるが、ほぼ眠れなかった。