3. 憂鬱な時間
ダリヤとの初対面の後、暫く私はダリヤの事が頭から離れずボーッとした毎日を過ごすのであった。大学のゼミの教授に相談したりもした。しかし、教授に何かが出来るわけは無い。
何せ「ダリヤの事が好きになった」という感覚では無く、「オーラに憑りつかれてまった」と言った方が正しい表現だったと思うので、自分でも何が何だか分からなかったのである。
こんな時間が確か1月半くらいは続いたと思う。
もちろん、ダリヤの連絡先など知らない。というか初対面の時は本当に来日したばかりだったのでダリヤは携帯電話など持っていなかったのである。
ダリヤの顔や、ダリヤがファミレスで話していた「なぜロシアで日本語勉強していてその発音になる??」という、関西弁と津軽弁をごちゃまぜにして標準語に戻したような日本語が頭の中グルグルする。。。
2. そもそも
そもそも、なぜダリヤと繋がりのある友人がその大学にいて、しかも紹介までしてもらえたのか。それは私自身もロシア語を専攻していたからであった。ロシア語専攻といっても当時、文字の読み書きが出来るくらいで面倒な格変化や名詞の性なども全く分からず、やる気も正直無かった。・・いや、やる気はあったが難しすぎたのだ。
ダリヤを初めて見た瞬間も神々しいオーラを感じただけで、「ダリヤちゃんと仲良くなりたい!そのためにロシア語頑張りたい!」なんて気持ちは全く起きなかった。それだけ、ロシア語というのは文法が複雑で単語がいちいち長くて覚え難いのである。
因みに、理由は後述するつもりであるが現在の私はロシア語はビジネスレベルで通訳などもたまにしている。
なぜロシア語を専攻したかというと、単に文字と発音がカッコ良く感じロシアという国自体にも「謎」を感じるところがあり、そこに惹かれたからだった。もちろん、大学入学する時点ではロシア人女性の事など頭に無かった。奥手だという事は既に書いたが、確か大学入学した時の経験人数は2人だったと思う。
1. 出会い
当時、私は22歳の大学生だった。ロシア人のダリヤ(19歳)との出会いは突然だった。私が在学していた大学とは違う大学が、ロシアの大学と協定を結んでおり、その大学へ1年間の交換留学生としてやってきたのがダリヤだった。
その大学には元々男の友人がいて、その彼はダリヤと面識があったのだが、その大学の学園祭に行った時にダリヤを紹介された。第一印象は正直、アヴリル・ラヴィーンそのものであった。(正確に言うと「そのもの」ではなく、アブリルの目の周りの特徴を無くして平坦にしたような日本人好みの顔。髪の毛は明るい栗色という感じだがその時は染めて完全な金髪だった)グレーのトレーナーにジーンズだったが、あまりにも綺麗過ぎて神々しいオーラが出ており「この綺麗」とは思ったが、「この子と付き合いたい」とかは全く考えられなかったのをよく覚えている。
学園祭とは言っても、ダリヤは来日したばかりで特に何かのイベントに参加していたわけでも無く、4-5人で学園祭を見て回った後にファミレスへ行ってみんなで食事をした。心の中ではダリヤと一緒に写真を撮りたいと思っていたが、オーラが凄すぎて元々奥手で社交的でも無い私は自分から提案できず、最後にみんなで記念撮影を1枚した。
元々ドライブや旅行が好きで、行く先々で写真を撮りまくっていた私はその時、大学の長期休暇にバイトをして比較的良いデジカメ買っておいて良かったと思うのであった。